ラストフライトによせて
「劇場版 うたのプリンスさまっ♪マジLOVEスターリッシュツアーズ」をこれから観に行く。
多分、これが映画を映画館で観る最後になると思う。 だから、この映画が公開されてから約2カ月間に感じたことを、備忘録も兼ねて残しておきたい。
この映画は、本当に素晴らしい作品だった。
素晴らしいライブだった、というのが正しいだろうか。
彼らが歌ってくれた「涙して愛した歴史の答え」が形を取るなら、きっとこんな形になると思う。 それくらい、愛に溢れた作品に感じた。
公開が始まった頃から、私は社会人になってから一番といっていいくらい忙しく、精神的にもかなり参っていた。
毎日目まぐるしく働いて、家に帰ると勝手に涙が出てきて、明かりを点けるのが痛く感じるから、暗い部屋の中で小さく丸まっている日が多くあった。 いつもお腹が痛くて胃腸炎の薬も飲んでいたし、少し状況が落ち着いた今思えば、本当にかなり追い詰められていたのだと思う。
そんな最低な毎日の中で、唯一心が安らいで、お腹の痛みも忘れられたのは、映画館でST☆RISHと旅をしている約1時間の間だった。
一緒に世界中の音楽を巡る旅をしている間、その間だけは本当に幸せで、楽しくて、映画を観た後は気分もだいぶ安らいでいた。 7人との旅が、私にとっては、精神の命綱だったのかもしれない。
だから、本当に感謝すると同時に、心から、うたプリをずっと好きでいて、良かったなと思った。
10年以上、うたプリを、プリンスたちを追いかけてきた人生だった。
最初の頃に一緒にイベントやライブに行っていた友人は、彼氏が出来たらうたプリから離れてしまって、連絡もしなくなった。
1人でイベントやライブにいったり、グッズを買ったりするたびに、「このままでいいんだろうか」と何度も思った。二次元のアイドルを20代後半のこの年まで好きで、いいんだろうか。間違ってないだろうか。
そんな思いを抱きながら、初めてST☆RT OURSを聴いた時、通勤電車に揺られながら泣いた。 初めてST☆RT OURSのライブシーンを観た時、映画館で嗚咽を噛みしめながら大泣きした。
「時間が過ぎるってことに泣く君を抱きしめ」
ワンフレーズに、ずっと好きでよかった、と思えた。間違ってなかった、そう思えた。
私は全部で17回、映画を観た。
100回以上観ている人もいるそうだし、特典をコンプリートしている人も沢山いるだろうから、決して多い搭乗回数ではないと思う。
けれど、私の今の経済力と、体力と、私生活の兼ね合いと、「観たい」という気持ちに寄り添った、すべて大切なフライト回数だ。
1回1回に、感動と、興奮と、笑顔と、涙が詰まっている。
私とST☆RISHだけの、フライト記録。
誰かと比較できるものじゃない。比較するものじゃない。
嫌なことが沢山あった日に、「みんなの笑顔、すっごく可愛い!」の一言で、ようやく笑えたこと。
消えてしまいたいと思った日に、「俺たちは同じ地球の仲間だ!」の一言で、頑張れるかもしれないと思い直せたこと。
「これからも俺たちについてきてくれるかな?」の一言に、これからの未来を描ける嬉しさで泣いたこと。
全部が、私だけの、大切なフライト記録だ。
いつか色あせて細かな思い出は記憶の中で消えてしまうもしれないけれど、きっと、「最高に愛に溢れた旅だった」ことは覚えている。
もうすぐラストフライト。
きっと今日のフライトも、素晴らしい音楽と愛に溢れた旅になる。